小林クリニック院長のBlog
メタボ検診その3
6月に入ってもう2週間。
いつもの年なら6月から市の検診がはじまって、
毎日大忙しなのですが、
今年は検診に受診される人がほとんどありません。

昨年まであった基本検診は、「特定検診」と
名前が変えられ、その内容も心電図なし、貧血検査なし
腎機能検査なし、と大幅に縮小されました。
悪名高い「メタボ検診」です。
メタボを見つけることだけが目的です。

「メタボを撲滅したら医療費が減る」と厚生労働省が
無理矢理導入した検診です。

多くの研究者や医者が「そんなもので医療費が減るわけがない」
「検診項目を減らしたら手遅れの状態で病気が見つかるようになる」
「腹囲の基準が日本人の体格と合っていない」
などと批判し、導入に反対しました。

実際に6月に検診が始まってから、小林クリニックで
メタボ検診を受けたのは、一人だけです。

すごく太っていて自分でメタボだと確信している人は、
検診を受けないでしょう。
すごくやせていて自分は絶対メタボではないと確信している人も
検診を受けないでしょう。
そのような人が他の病気を発見できなかったらどうなるのでしょう。

重傷になってから病院にかかれば医療費はよけいにかかります。

基本検診と一緒に行われていた各種の癌検診も受診者がほとんどいません。
小林クリニックでは今のところ大腸癌検診一人、肺癌検診一人だけ。

例年なら毎日のように胃癌、肺癌検診があり、予約も一ヶ月ぐらい先まで詰まっているところです。
今年は予約票が白紙状態。

メタボ検診なんか受けたくないので、大切な癌検診も受けようとしないのでしょう。
癌が手遅れになると、これも医療費高騰の原因になります。

メタボ検診をして、メタボを減らせば医療費を減らせるなどという幻想は大間違いだったようです。

とにかく政府の医療費削減政策そのものが間違っているのです。
国民の健康のために国はもっと国が出す医療費を増やすべきです。

先進国の中で一番医療費の少ない日本ですから。
Date: 2008/06/14(土)


医者が患者になったとき
昔から「医者の不養生」と言われるように、医者というのは自分の健康には無関心な人が多いようです。また自分が病気になったときに主治医や看護師さんの言うことを全然聞かないのも医者だと言われています。生半可な医学知識を持っているために専門家の助言を聞こうとしないのです。小林クリニックでやっている人工透析でも、医者である透析患者が一番自己管理が悪いと言われています。私自身も医者である透析患者の主治医にはなりたくありません。言うことを聞かないわがまま患者になることがわかっているからです。
ところでこの私が先日から患者になる羽目になってしまいました。2月頃右目が見えにくいことに気づいたのです。眼鏡があっていないのだろうと簡単に考えて眼鏡屋に行きました。いろいろ視力検査などした後言われました。「これは眼鏡では矯正できません。眼科で診てもらってください。」仕方なしに(悪い予感を感じながら)近くの眼科を受診してみると「白内障です。老人性ですね。手術を受けた方がいいです」と言われてしまいました。何よりも「老人性」と言うことにショックを受けましたが仕方ありません。先週の木曜日に手術を受けました。木曜日は小林クリニックは休診日なので、診療を休まずに受けることができました。金曜日、土曜日は処置があるので受診が必要です。眼科の先生は本当は外来診療は9時からなのに、私の仕事のことに気を遣ってくださって、朝の8時から診てくださいました。術後は本当はゴミが入らないようにゴーグルをつけなくてはならないのですが、わがまま患者の私は、外来診療中だけはゴーグルでなく眼鏡でいいという許可を無理矢理取り付けました。最初の一日だけは外来診療中以外はゴーグルをかけていましたが、二日目からは面倒になってゴーグルをつけなくなってしまいました。ゴーグルなんてはめなくても大丈夫と油断していたのです。
大変なことが起きたのはちょうど術後1週間目の昨日の夕方でした。外来診療中に突然右目に激痛が出現したのです。目を閉じて、ガーゼで軽く押さえているといいのですが、手を離すと痛くて目を開けることもできません。眼内レンズが割れたのかと思うぐらいでした。外来診療もそこそこに、目を押さえながら、白衣も着替えずに眼科へ駆けつけました。眼科の待合室には座るところもないほど患者さんが待っていましたが、看護師さんが私の姿を見るやいなや近づいてきて、「どうされましたか?すぐ診察室へどうぞ。」と案内してくれました。結果は「ゴミ」、麻酔の点眼をして、ゴミを取り除いてくれたとたんにうそのように痛みが取れました。ふつうならゴミが入ってもゴロゴロするだけですぐに治るのでしょうが、術後の炎症がまだ残っていたからでしょうか本当に目がつぶれるかと思うほどの痛みでした。主治医の言うことを聞かずに勝手にゴーグルをはずしていた私が悪いのです。待合室で待っていた大勢の患者さんたちにも迷惑をかけました。あとから考えると、帰るときに待合室にあふれていた患者さんたちに「順番をとばかして診察してもらって申し訳ありませんでした」と謝るべきだったと思います。
まさに「医者が患者になったら勝手なことばかりする」の典型でした。
それにしても、初めて受診したときから、昨日まで手術も含めて数回受診しましたが、医師の説明は十分だったし看護師さんの患者への心配りや、視力をはかる技師さんたちの態度、受付や会計をする事務の方たちの仕事ぶりを見て感心させられることが多くありました。私語ひとつなく確実に仕事をこなしています。たまたま手が空いている人は直立不動で、診察室から出て帰ろうとする患者さんに丁寧に頭を下げていました。わが小林クリニックでは患者さんたちに、私がこの眼科で感じたように思ってもらえているのだろうかということも心配になりました。
私は医学生の時十二指腸潰瘍が破裂して腹膜炎になり、病院に担ぎ込まれて手術を受け、一命をとりとめた経験があります。だから自分では「患者の痛みや心」は理解しているつもりでいました。その後病気一つしたことがなく、開業してからも病気で休んだことは一日もありません。そうした生活になれていくうちにいつのまにか「患者の痛みや心」を忘れたおごれる医者になっていたのかもしれません。
この1週間は、私自身の心構えと、小林クリニックのあり方を考え直すいい機会になったのかもしれません。
Date: 2008/05/29(木)


沈みかけた船
昨日、野党4党が参議院に「後期高齢者医療を廃止する法案」を提出しました。衆議院には以前から提出していたのですが、審議さえされず(衆議院では与党が多数だから)放置されてきました。今度は参議院です。参議院では野党が多数を占めるので、、この法案は可決され、衆議院に送られることでしょう。そこで与党がどういう態度をとるのか、すでに、「低所得者からは年金からの天引きはやめる」などと言い始めていますが、こうした小手先の改革だけではどうにもなりません。与党の議員の中にも「この制度は根本から見直すべきだ」という意見も出始めています。さてどうするのでしょう。これに対する態度が、年内にも予想される解散総選挙の重大な争点になることは間違いないでしょう。

私が愛読している医師のブログの一つ「天国へのビザ」(2児の母親であり勤務医でもある春野ことり先生のブログです)におもしろいたとえ話がありました。一部を引用させていただきます。
そして、その物語にいろんな読者がアレンジを追加していました。それも紹介します。

まずは原作をどうぞ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

沈没しかかっている船がありました。

船には、赤ちゃんから老人まで乗っていました。

沈没を防ぐためには、重量を減らさなければなりません。

船頭さんは苦渋の末、意を決してこう言いました。

「お年寄りからこの船を下りてもらおう!」

老人から反発の声が上がりました。

「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

「人殺し!」

船頭さんは黙り込んでしまいました。

若者や子供たちも何も言えませんでした。

そして、船は沈没しました。

子供も若者も老人も、みな命は平等です。

だから、みんな一緒に海の底に沈みました。



おしまい





欧州の消化器科医先生の作品です

その

・・・・・

老人から反発の声が上がりました。

「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

「人殺し!」

船頭さんは黙り込んでしまいました。

若者や子供たちも何も言えませんでした。

しかし、いよいよ沈み始めた時に乗員で争いが始まりました。

若者は「これまで十分生きたじゃないか、頼むから死んでくれ」

老人は「なにを、ばちあたりな。誰のおかげでここまでこれた?」

「メタボから先に下りろ」

そして殺し合いが始まりました。

船頭は傍観していました。

ちょうど適度に殺し合いがすんだ頃合いに、船頭は

「ああ、沈まなくて良かった。でも、残った乗員の消耗がひどくて、船が進まなくなったなぁ。安くて良く働く、外人でもいれるか」

そして、残った乗員と外人とでまたしても争いが果てしなく続きました。

そのうち、誰が本当に悪いのかに乗員は気づきました。

乗員と外人の怒りは船頭に向き、船は漂流していくのでした。





欧州の消化器科医先生の作品 その

・・・

老人から反発の声が上がりました。

「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

「人殺し!」

船頭さんは黙り込んでしまいました。

でも、若者や子供たちはどうにかしようと考えました。

老人達といっしょに知恵をしぼりました。

まず、船に不必要な物を捨て始めました。

不要な箱ものを捨てました。

そして、船頭達が実はお宝や利権を隠し持っていたことをつきとめました。

それを元手に船を大きく改築し、沈みにくくしました。

さらに、船頭達の不要な大量の持ち物も捨てました。

そして、二度と不正蓄財、利権集中ができぬように船内の規則を作り替えました。

船頭もみんなの幸せを考えられる人を選びました。

そして、老いも若きも力を合わせるようになった船は再び力強く進むこととなりました。






次はakoさんの作品です。



沈没しかかっている船の近くには豪華客船がありました。

救命ボートを投げれば全員助かりそうです。でも、救命ボートは自分たちの乗っている船の乗客用に用意したものだから別の船の乗客のために使えないといって投げようとしません。

沈没するような貧弱な船に乗る料金しか持てなかったあなたたちの自己責任、と。







たぬくまぞうさんバージョン



沈没しかかっている船がありました。

船には、赤ちゃんから老人まで乗っていました。

沈没を防ぐためには、重量を減らさなければなりません。

船頭さんは苦渋の末、意を決してこう言いました。

「お年寄りからこの船を下りてもらおう!」

老人から反発の声が上がりました。

「年寄りは死ねっていうことか!ひどいじゃないか!」

「人殺し!」

船頭さんは黙り込んでしまいました。

若者や子供たちも何も言えませんでした。

船頭さんは考えました

老人には食料を少なくして

治療もしない事にしました

弱った老人はどんどん亡くなり

海の藻屑と消えて行きました

お陰で船は沈まずにすみました。

めでたしめでたし


続き

若者と子供達は考えました

将来同じ目に合うのかと

船で暴動が起き

船頭は海に投げ込まれてしまいました

それから船は何処を漂流しているやら。

おしまい


みなさん、想像力が豊かです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで引用

船の名前はもちろん日本丸。
船頭たちは、日本政府とこの制度を考えた官僚たちのことだと思います。豪華客船の話は、今の格差社会のことを言っているんでしょうね。
さて皆さんはこの話の中で、誰の作品のようになるのが一番よいと思われますか?

私は欧州の消化器科医先生の作品 その△陵佑砲覆襪里いいと思いました。
Date: 2008/05/24(土)


笑える話
我が小林クリニックには愉快な看護師がいます。仮に彼女のことをIさんとしておきましょう。彼女の頭は回転がすごく速くて、思ったことが瞬時に言葉になるのです。私などは昔から大分たってから「あのときこう言っておけばよかった」と思う方なのでうらやましくてたまりません。Iさんのおもしろい話をいくつか紹介します。
笑える話,△訥の透析室でのこと、透析患者さんたちが入室してきます。私は皆さんにおはようございますと挨拶をします。ある患者さんが私の頭を見て、「先生、屋根替えしたんか?」と聞きました。屋根替えとは散髪のことだというのをその時はじめて知りました。ほかの患者さんたちに、「散髪したことを屋根替えというか知ってる?」と聞いてもほとんどの人は知らなかったようです。その時、Iさんがすかさず言いました。「先生の頭は、いくら屋根替えして瓦を変えても雨漏りがなおらんのよ」
笑える話⊂林クリニックの待合室の前には芝生が植えてあります。先日枯れた芝生を焼きました。それを見ていたIさんが聞きました。「どうして芝生を焼くの?」そばにいた人が「枯れた芝生を焼くとその下から新しい芽が出てくるんだ」と応えた瞬間Iさんは「先生の頭も線香で焦がしてみたら。そしたら新しい髪が生えてくるかも」と言ったそうです。
笑える話どうしたことか、今月になってから外来がものすごく忙しいのです。よその診療所ではどうなのかわかりませんが、小林クリニックでは、外来患者さんがものすごく多くて、朝から晩まで、一休みすることもできないことが多くあります。「このごろ外来が忙しくて、おしっこにも行けないよ」と言うと、Iさんがすかさず言いました。「先生、管(膀胱へ入れるカテーテルのこと)を入れといたげようか。そしたらトイレに行かなくてもすむよ。」
笑える話はまだまだあるのですが、今日はこのぐらいにして、そのうちまた公開しましょう。
私はこんなことで怒ったことはありません。こんな事が言える小林クリニックであってほしいと思っているのです。
Date: 2008/05/17(土)


メタボ検診その2
メタボ検診の説明会が各地で開かれるようになり、しだいにその中身があきらかになってきました。去年までの基本健康診査は誰でもうけることができたし、検診項目も誰でも同じでした。40歳以上なら誰でも同じレベルの健康診断が受けれたのです。
今年からは違います。75歳以上の後期高齢者は高血圧、高脂血症、糖尿病などの治療を受けていれば、それだけで検診の対象にはならないのです。また75歳以上の人は、それらの治療を受けていなくても貧血検査、心電図などは受けられません。75歳にもなるといろいろ病気があるのが当たり前だから、検診など受けるなということでしょうか。心電図検査を受けられないために、心臓に重大な病気があってもわからなくてよい、心筋梗塞になってもかまわないというのでしょう。
検診だけではありません。検診でメタボと診断された人に対する特定保健指導もしないことになっています。
生活保護の方は、年齢に関係なく、後期高齢者と同じ扱いになっています。
75歳で高血圧治療中の元気なお年寄りが、去年と同じように健康診断を受けようと受診されたら、「あなたは健康診断を受けられません」と言わなければなりません。お年寄りは激怒するでしょう。
後期高齢者と生活保護を受けている方は、医療も差別、健康診断も差別。弱者切り捨てがますます進みます。
Date: 2008/05/12(月)


重度障害の65歳から74歳も姥捨て山に
5月6日付の朝日新聞1面によると、65歳〜74歳の重度障害者が医療費の補助を受ける条件として、後期高齢者医療制度への加入を求める自治体が10道県22市町あるらしい。

 後期高齢者医療制度は、75歳以上は強制加入だが、障害を持つ65歳〜74歳の人も加入できることになっている。加入するかどうかは任意である。しかし「加入しないとこれまで受けられていた補助を受けられない」となれば、加入せざるを得ない人も多いだろう。

記事は次のとおり。

非加入者の補助中止 10道県、重度障害者に 高齢者医療
2008年5月6日【朝日新聞】

 後期高齢者医療制度が始まった4月以降、65〜74歳の寝たきりなどの重度障害者が医療費の補助を受ける条件として、10道県22市町が新制度への加入を求めている。会社員に扶養され保険料ゼロだった障害者は、新制度に移ると保険料支払いを義務づけられるため、批判の声が出ている。

 国民健康保険の加入者ら保険料を本人負担してきた障害者も、所得や住む地域によって新制度の保険料の方が高くなる場合もある。全国49万人の重度障害者が、住む地域によって受けられる公的補助に大きな差が生じている。

 朝日新聞の調べで、新制度に加入しないと医療費補助を打ち切るのは、北海道、青森、山形、茨城、栃木、富山、愛知、山口、徳島、福岡の10道県。高知、広島両県によると、高知市、広島県の広島、福山両市以外の21市町も同様の対応だという。

 3月まで65〜74歳の重度障害者は、75歳以上の人とともに老人保険制度の対象だった。窓口負担は原則1割。それを道府県と市町村が半分ずつ(都は単独で)補助し、重度障害者は事実上無料のところがほとんどだった。

 新制度への加入は任意だが、加入しないと、窓口負担が4月以降は65〜69歳は3割、70〜74歳は2割(今年度は1割)と倍増する。新制度に加入すると1割。非加入者の窓口負担を従来通り無料とするには、その分必要な公費が増える。

 他の37都府県は、新制度に加入しない人にも補助する。ただ、福島、石川、広島、愛媛各県は「公平性」を理由に、非加入者への補助額は、新制度に加入した人の窓口負担と同じ1割分にとどめる。

 新制度の保険料は、全国平均で年額7万2千円。重度障害者もいる「全国腎臓病協議会」の栗原紘隆・常務理事は「新制度に入らなければ補助を受けられないのは、事実上の強制加入。新たに保険料を払わねばならない被扶養者や、保険料が増える人の場合は加入しなくても補助を受けられるようにしてほしい」と訴える。
(南宏美)

同じ日付の毎日新聞では次のように

後期高齢者医療制度:加入強制 71歳「生活ギリギリ」 息子2人も障害者

毎日新聞 2008年5月6日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20080506ddm041010126000c.html

 北海道や福岡県など10道県で、障害を抱えたお年寄り3400人余が、後期高齢者医療制度への加入を「強制」され、拒否していた。加入しなければ障害者医療費の助成を受けられないと知りつつ、保険料の負担に耐えられない現実がのしかかる。重い障害を抱えながら長年働き、家族を養う人たちは、制度のはざまに落ち込み、疑問の声を上げる。【野倉恵、茶谷亮】

 ◇富山市の説明、その場で拒否
 富山市の新聞販売店勤務、中崎宗夫さん(71)は聴覚障害2級で、肉声での会話は困難だ。耳鼻科や眼科にも通う必要があり、4月3日に受診、窓口で自己負担分430円を支払った。3月までは県と市の医療費助成があり、負担はゼロ。引き続き助成を受けるには、同制度に入る必要があったが、見送っていた。

 妻チヨミさん(66)と2人で新聞を配り、月収は約17万円。年金も約20万円あるが、配達用の車のガソリン代などで十数万円が消える。知的障害者施設で暮らす長男(37)、重症心身障害者施設に入所の次男(35)のため、月4万円を積み立て「生活はギリギリ」だ。

 3月に郵送されてきた新制度の通知を手に、市役所に出向いた。妻と息子、有料老人ホームで暮らす母親(91)は、中崎さんの政府管掌健保の被扶養者で月々の保険料は7200円。中崎さんが同制度に入ると、全員が個別の健康保険に入らなければならず、保険料総額は1万1700円に増えてしまう。

 中崎さんは、付き添いの友人のおかげで職員の説明をやっと理解し「今の収入では負担できない」とその場で加入を拒んだ。

 だが、今後は障害者対象の医療費助成が受けられず、日常的な通院で負担を強いられる。「通院だけならまだしも。今は事故も入院も考えたくない」

 「新制度に移れば、子供たちの保険も必要になる。制度の変更を国は真剣に考えてほしい」。中崎さんは筆談を交え、そう訴えた。


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後期高齢者医療制度:10道県、重度障害者に「強制」 3418人が加入拒否

毎日新聞 2008年5月6日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20080506ddm001010016000c.html

 後期高齢者医療制度への加入が任意となっている65〜74歳の重度障害者に対し、10道県が制度加入を医療費助成継続の条件にしたため、計3418人が拒否していることが分かった。加入した場合に保険料負担が増えるためとみられる。自治体にとっては同制度加入者の方が財政負担が軽くてすむが、一部の障害者は負担増か医療費助成打ち切りかの選択を迫られている。

 毎日新聞の調べでは、10道県と加入拒否者数は▽福岡1423人▽北海道666人▽愛知318人▽青森280人▽茨城275人▽栃木180人▽山口86人▽富山70人▽山形、徳島各60人。

 障害者への医療費助成は全都道府県が実施し、一定の障害があれば、都道府県と市町村が折半するなどし本人負担をなくしたり軽減したりしている。その際の自治体の負担は、後期高齢者医療制度の加入者は1割だが、国民健康保険や企業の健康保険なら65〜69歳で3割、70〜74歳で2割(08年度は1割)。10道県は、市町村も含めた自治体の持ち出しを減らそうと、同制度加入を助成の条件とした。

 制度加入を拒否した人の多くは、障害を抱えながら職を持ち家族を扶養しているとみられる。会社の健康保険に入って家族を養っている人などは、同制度に移れば、自分以外の家族全員が個別の国民健康保険などに加入し、それぞれの保険料を支払わなければならなくなるため、負担が増えることがある。

 10道県の多くは「医療費負担と新制度の保険料負担を比べた本人の判断」として、特別な対応をしていない。厚生労働省は指導などはしていないが、実態の把握を進めている。【野倉恵、秋山信一】

 ◇受診自粛の恐れも−−北野誠一・東洋大教授(障害者福祉論)の話

 10道県の制度運用は、自治体の財政力や方針の違いにより障害者の生活基盤が揺らぎかねないことを意味している。保険料を負担するか助成を受けられなくなるリスクを取るか。選択を迫られた障害者の多くは、ぎりぎりで自立し、家族も養う人たちだろう。助成がなくなれば、受診の自粛も心配される。

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(新聞記事はここまで)
 

 弱者包囲網は、着々と狭められています。2年前障害者自立法が施行されました。その結果医療費自己負担が無料だった多くの障害者が原則1割負担を支払わなければならなくなってしまいました。今度は被扶養者であり保険料がいらなかった人たちに、保険料を払えというのです。今回の問題はさらに追い打ちをかけて、弱者をいじめるものになるでしょう。国も自治体も「弱者はお荷物」と考えてるのでしょう。

 社会には勝者もいれば敗者もいる。強者もいれば弱者もいる。勝者は勝者でいていいと思うが、敗者や弱者の存在を切り捨てる社会は、人間の社会としては不健全である。敗者や弱者も含めて、全体で存続できるような仕組みが、人間らしい「社会」だと思う。強いものだけが生き残ればいいと考えている人が、日本の構造決定に大きく影響している現状は、明るい将来につながらないような気がしてならない。
 後期高齢者医療制度は姥捨て山ではないと、厚生労働省は言い続けている。しかし弱者が生きていきにくい気持ちになる制度であることは、どこから見ても間違いない。前期高齢者(65〜74歳)の中で障害者だけ後期高齢者医療制度に加入「できる」と言いつつ、加入しないと補助はあげないよというのは、後期高齢者医療制度は弱者を誘い込む漁網のような位置づけなのではないかと感じる。


 野党4党は5月中に廃止法案を参議院に再提出すると言っている(衆議院に提出しているがいっこうに審議が始まらないため)。2年前に強行採決した張本人である与党の中からも、後期高齢者医療制度への反対論が巻き起こっている。しかし一度始まってしまった制度を廃止するのは、莫大な税金の無駄遣いになるし、医療現場も混乱する。政治家もマスコミももっと早く動いてほしかった。おかしな制度になることは、1年半以上前から公表されていたのだから。

Date: 2008/05/08(木)


学校検診
4月の末から5月にかけて、学校では新学期の健康診断が行われます。私は近くの小学校の校医をしているので、毎年小学校へ健康診断にこの季節3回ほど出かけます。昨年から近くの中学校の校医の先生から頼まれて健康診断の応援に一回行っています。
昨日は中学校の健康診断に出かけました。広い剣道場で、私の担当は1年生の男子。大きな部屋に大勢の生徒たちが集まるので、ざわざわしています。時々学校の先生が「おまえらうるさい。お医者さんが聴診器で心臓の音を聞いているんだから静かにしろ」などと大きな声で怒鳴ります。「先生の声の方がやかましいよ」と言いたいところですが何せ私は応援の身、じっと我慢していました。半分ほど検診がすんだ頃、下校の合図なのか、校内放送で音楽が学校中に響き渡るような大音響で始まりました。モーツアルトの名曲ですが、検診中には大変迷惑です。ちょうどそのとき、「おまえらうるさい、静かにしろ」という先生の大きな声がしたので、思わずいってしまいました。「生徒たちのざわざわぐらいはいいですから、あの音楽を消していただけませんか?」
しばらくすると音楽が消えて静かになりました。
2時間近く聴診器を当て続けていると、耳が痛くなります。また同じ姿勢をずっと続けているので、肩が凝ります。
とにかく疲れた一日でした。
今月は自分が校医の小学校へ3回、ほかの小学校の応援に1回計4回健康診断に出かけます。
Date: 2008/05/01(木)


新たな差別医療
昨日のニュースから。生活保護の患者には3流品の薬しか処方してはならないという通知が厚生労働省から出されているようです。
ジェネリック医薬品というのは通称ゾロ品といわれ、最近テレビなどでもしきりに宣伝されています。一流品の薬と同じ成分ですとか安全性も変わりませんとか盛んにジェネリックへの移行が進められています。開発、研究費にほとんど金がかかってないので、安いのです。厚生労働省は医療費削減のために医師にジェネリックを使わせるためにあの手この手を使ってきています。
でもほとんどの医師の間では、ジェネリック医薬品が本当に安全なのか、一流品と同じ効果があるのかなど様々な疑問が広がっています。効きが悪い、副作用が多いなどの声も聞かれます。主成分は同じでも、作り方が違ったり、添加物が違ったりすれば、同じくスリとはいえないこともあるのです。安全性には疑問があります。
生活保護患者にはこんな薬しか使うなというのは、高齢者に医療費を使うなというのと同じで、立場の弱いものへの差別に他なりません。

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ジェネリック医薬品:生活保護者に安価薬 「違反者」割り出し徹底

毎日新聞 2008年4月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/04/27/20080427ddm041040173000c.html

 ◇自治体「どう説明を…」

 生活保護受給者に対してジェネリック(後発)医薬品の使用を事実上強制する通知を厚生労働省が自治体に出していることが明らかになった。背景に医療費抑制を迫られる“国の懐事情”があり、通知書でも「後発医薬品は安く」「医療保険財政の改善の観点から」など、お金にかかわる文言が並ぶ。一方、指導に従わない生活保護者を割り出すため、薬局に1枚100円の手数料を払ってまで処方せんを入手するとしており、なりふり構わぬ様子がうかがえる。

 4月1日に始まった後期高齢者(長寿)医療制度に続き、生活保護者に限定した医療費抑制策は「弱者切り捨て」との批判を呼びそうだ。

 通知は後発薬について「一般的に開発費用が安く抑えられることから先発医薬品に比べて薬価が低く(中略)患者負担の軽減や医療保険財政の改善の観点から使用促進を進めている」と説明。生活保護者については「患者負担が発生しないことから、後発医薬品を選択するインセンティブ(動機付け)が働きにくいため、必要最小限の保障を行う生活保護法の趣旨目的にかんがみ、後発薬の使用を求める」としている。

 通知によると、都道府県や政令市などが所管する福祉事務所は、診療報酬明細書(レセプト)の抽出を行ってまで、生活保護者が後発薬を使っているか確認しなければならない。そのために、調剤薬局に1枚100円の手数料を支払い、先発薬を使っている生活保護者の処方せんの写しを提出させることまで規定していた。先発薬の使用を指示した医師に対しては「特段の理由なく(受給者が)後発薬を忌避したことが理由でないかについて確認」することも盛り込んだ。

 国は後発薬の使用を生活保護者だけでなく国民全体に呼びかけているが、窓口で3割負担をする患者は調剤薬局などと相談して先発薬を選ぶこともできる。しかし生活保護者は「医学的理由がない」と判断されれば、保護の停止や打ち切りにつながりかねず事実上、選択権が奪われた形だ。ある自治体の担当者は「停止や打ち切りにつながることを、どういう形で受給者に説明するか慎重に検討したい」と戸惑った様子で話す。【柳原美砂子】

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Date: 2008/04/28(月)


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